X100VIに見る完成形
X100VIに見る完成形
X100という唯一無二。
唯一無二のカメラと言う言葉はよく耳にするが、当然そんなカメラは中々あるものじゃない。しかしながらFUJIFILMにはその唯一無二が多い。
X100、X-Proシリーズはまさに唯一無二だろう。
レンジファインダーのような光学ファインダーにブライトフレームを持ち、AFでピントが合う。さらにそのファインダーはEVFにも切り替わる。
「誰が考えたんだ?」こんなカメラ。そしてどこのメーカーもこんなカメラを作ろうとしない。と言うことは誰がこんなカメラを求めているんだろうか。
2011年に始まったFUJIFILM X100シリーズ。それから13年、6シリーズ目となるX100VI。シリーズを追うごとに人気、注目は高まり、前モデルX100Vに至っては、新品が手に入らない事から中古の価格がみるみる上がった。日本製カメラでこんなモデルがあっただろうか。
誰も作ろうとしない、こんなカメラでありながら、本当に写真好きはこの形を求めているんではないだろうか。
少なくとも私は求めていた。
ファインダーを覗く。そのことに重きを置くX100シリーズ。
私自身、ファインダーを覗き、自分の目線で捉えフレーミングする事で自分の作品として息が吹き込まれていると感じる。
自ずと自身の使用するカメラには先ずファインダーがあることが必然となる。もちろんSIGMA FPなどファインダーのないものも気に入って使っているが、FPに関しては最高の画を叩き出す小さな箱だと思って、ある意味カメラだと思っていない(笑)。それ以外、ファインダーのないカメラはあまり手にしようとは思わない。
とにかくファインダーを覗いて撮ることが私の撮影の前提である。さらにX100に関しては素通しの光学ファインダーを持つ。私がM型LEICAを使う理由として、シャッターを落としてもシーンが消えない光学ファインダーにある。それがX100ではAFでピントが合うのだ。それも小窓EVFを搭載してピンとチェックも出来る。すでに当たり前の事ながら、どえらいことをやってのけるカメラだと思う。
更にレンズ一体型で最短撮影距離は10cmというパンケーキレンズ。もうまさに唯一無二の夢のカメラだと言っても過言ではない。
六代目の完成形 X100VI
2011年の初代X100の発売から六代目となるX100VI。私自身手にしたのはX100S、X100T、X100F、そしてこのX100VIと4台目となる。シリーズを重ねるごとにデザインも洗練されてきている。先代のX100Vでボディもアルミを使用することでエッジの立ったデザイとなり、このX100VIではほぼ見て目に変わらないデザインのままの登場で、ある意味デザインとしても完成された感がある。
また、レンズ設計もX100Vより変わった。X100Fまでのレンズはオールドレンズを感じさせる柔らかい写りではあるものの、近接においては柔らかすぎてもはやピントが合っているかもわからない時があった。X100V以降のレンズは最短10cmに置いてもキリッとピントが立ちマクロレンズとはいかないが、立体感も中々のものがある。それは同じくレンズ一体型コンパクトのLEICA Qよりシャープなものだと感じる。
話しついでに言うと、X100VIはLEICA Q3のAPS-C版と言ってもいいだろう。レンズはLEICA Q3の28mm F1.7に対してX100VIは23mm F2。Q3の6000万画素に対してX100VIは4000万画素。丁度クロップした辺りだろうか。私自身LEICA Qを使っていた頃は28mmよりもほぼ35mm相当でクロップしていた。そう思うとこのX100VIで十分ということになる。更にファインダーにおいては光学ファインダーという。もう、色んな意味で最高の存在と言える。
描写の良さを持つX100シリーズ最高のX100VI
あまりにも気に入りすぎて、褒め方もえげつなくて文章に真実味がなくなりつつあるが、このX100Vからの新レンズがとてつもなく良い。よく聞く評判として、写りが硬すぎてX100Fの方が好みだという意見がある。私自身使った感じはピントのシャープさとボケの柔らかさを兼ね備えた素晴らしいレンズだと感じる。
最近SIGMAレンズをよく使うものだから、あちらはシャープでかなり硬い印象だ。それに慣れてるとこのX100VIのレンズ描写は絶妙だと感じる。さらに開放で撮るとなんと柔らかい周辺減光が見られる。これはとても香ばしい。X100Fまででは感じられなかった描写だろう。
また、手ぶれ補正を内蔵していることから、ピント面の解像度も高くまさにパーフェクトと言える。X100VIはまさにX100の完成形であろう。
X100VIを持つ喜び
FIJIFILMのクラシカルなデザインは、悪く言えば野暮ったさと紙一重だった。その点LEICAはクラシカルなシルエットでありながら現代のデザインとし洗練されているものだった。
しかし、このX100VIに置いてはアルミ筐体で非常にシャープなラインを生み非常に美しいものだ。更にブラックのやや艶のある塗装はなんとも言えず、さらに使い込まれるとシルバーのアルミが見えてくるのだろうか風合いもでてきそうな気もする。
デジタルカメラの進化もまだまだ進むのだろうが、もう十分満足な域に達しているのではないだろうか。愛する一台が見つかれば長く使い続けたい。X100VIにもう望むものがない。常に持ち歩きたい一台として長く愛用したいものだ。