X100Fという個性
X100Fという個性
第一世代X100。最後の存在
2011年3月に発売した初代X100。丁度発売直後に東日本大震災があったことを記憶している。あれから早10年が経っている。私自身初代X100は手にしていない。Xシリーズを初めて手にしたのはX10だった。その後X-Pro1を使い始めFUJIFILM Xの画の良さに魅了され今に至っている。
Xシリーズの原点とも言えるのがX100。その後X100S。X100T。X100Fとシリーズを重ね、今はX100Vの五世代目となる。私が使い始めたのはX100Sからで、X100Fでは嬉しいことにカタログ撮影に起用され京都に入り何日もの間秋の京都を撮り歩いた。
その事からも私にとってX100Fは特別な存在である。
そして昨年発売されたX100Vはレンズが再設計され、ボディデザインもシルエットこそ変わらないがとても洗練されX100第二世代と言える。特にレンズの表現が大きく違う。
X100Fまでのレンズは、とても柔らかい。柔らかいというか近接だとどこにピントが来ているのか分からないくらい(笑)。被写体に対して1mから5、6mあたりの描写がいいだろう。開放でもスッと立ち上がったピントに優しい表現で、なおかつボケの雰囲気は何かオールドレンズを感じさせるものだ。この表現がやはり第一世代X100の魅力だろう。
この投稿のカットはX100Fの風合いを引き立たせるべく全て、Lightroomで調整しつつ、ややフェードをかけた仕上げにしている。
これらをカメラ内のJPGで仕上がるべくAWBを使いながらWBシフトで色味を振ったりといろいろ設定を追い込んで、カスタム登録出来ないものかと格闘してみたが、中々思うようにいかなかった。というかWBシフトが登録できないので何ともしがたい。
カスタム登録に関しては、X-Pro3が一回り上手なのでそちらでは幾つも登録設定を作ってあるが、X100Fでも行えるよう何とかファームアップで改善して欲しいと思いながらも、すでに旧モデルなので期待もしにくい(汗)。しかしながら、この第一世代のX100 FUJINON 23mmレンズはX100FでFINALなので(そのFじゃないが)、ずっと更新して不滅のモデルとして保って欲しいものだなと勝手に思っている。
実はどこにもないX100という存在。
35mm単焦点コンパクト。
APS-Cなので実際は焦点距離は23mmではあるが、35mmと言う画角はストリートショットのド定番な焦点距離である。フォルム時代でもRollei 35を筆頭にContax TシリーズのT3(1,2は38mmだが)など。レンズ一体型で、常に持ち歩きたくなるカメラだった。
デジタルとなった今だと、フルサイズになるとSONY RX1や最近ではZEISS ZX1(マイナー(汗))などがあるがいずれも、レンズ・ボディ共々決してコンパクトとは言えない。そういう意味でもサイズと写りが両立した絶妙なカメラである。
現行のX100Vはフォルムと共に洗練されたレンズになっているのでテーブルショットなどの近接描写も良く、魅力的な描写であることは間違いない。これから手に入れるのならX100Vを薦めるかな。しかし、この独特の柔らかい表現を持つX100Fは、これもまた唯一無二のカメラと言える。このカメラでしか撮れない絵はある。
新しいカメラだったりレンズを手に入れたりで、写真を撮る楽しみは尽きないが、周期的にX100Fは持ち出したくなるカメラだろう。
現在はSQUARE HOODの角型フードに同じくSQUARE HOODのサムレストを着けている。この2点の装着で何ともシャープな印象だ。X100Vにも負けていない(笑)。
マグネシウム合金筐体のX100Fボディは強靱で、イタリアに持っていった際に着いたファインダー近くのキズの他はきれいな状態を保っている。X100Vは洗練されたアルミ筐体だが、質感も含め個人的にはX100Fの方が存在感を感じる。撫で肩のファインダー周りなどデザインはいいと思う。
洗練されたデザインには質感が伴わないといけない。
往年のスタイリングながら洗練されていると言えばLEICAのデザインがそれだろう。LEICA MやLEICA Qクラスはデザイン、質感も伴って圧倒的な存在感を感じる。しかしコンパクトシリーズのD-LUXやC-LUXはデザインこそ美しいが質感がなんとも長く愛せない。美しすぎて傷なんてついてしまうとがっくりテンションが下がってしまう。下地が見えてきても味わいとなるLEICA M等とは違うのだ。
その点からしてFUJIFILMのカメラもデザインはもちろん、質感こと大事にして欲しい。もちろんコストも上がるだろう。しかし、デザインは飽きることがあっても、良い質感であれば長く愛せるものになる。そういう意味からもチタニウムで出来たX-Pro3はまさに長く愛せるボディデザインだと思う。
X100Fも5年目に突入して愛着が増している。
X100第一世代最終モデルとして、下地が見えてボロボロになるまで使い込みたいと思う。