X-PRO3 × Cheap Classical Lenses
X-PRO3 × Cheap Classical Lenses
PERGEAR 25mm F1.8という聞いたことのないレンズ
中国製のサードパーティレンズも最近はかなり充実してきて、F値0.95という大口径のものから、コンパクトでルックスのいいレンズも多くなってきた。
FUJIFILM Xマウントも多く、私自身、7 Artisansや中一光学 ZHONG YI OPTICSのMITAKONなど色々手にして使って来た。中国製もそこそこ高価なものは造りもそれなりにしっかりしていて写りもいい。しかし、さすがに一万円程度のものはトイレンズとしては遊べるがしばらく使うと飽きてしまうものばかりだ。
そんな中、最近出会ったのがPERGEAR 25mm F1.8。
まさに、聞いたこともないレンズ。7 Artisansに同じ25mm F1.8というスペックのレンズはあるが以前使ったことがあり、歪曲や周辺の描写がひどく使う気になれなかった。しかし、PERGEARは価格や仕様、サイズまでも近いものだが、全く別物だった。
あまりの気に入り具合に、最近ではX-Pro3に付けっぱなしで常に持ち歩く存在となっている。その無名とも言えるPERGEAR 25mm。価格は8,000円もしないこのレンズが、ここまで魅力あるものだとすると、一体レンズって何なの?改めていろいろ思いを整理してみる…。
PERGEAR 25mm F1.8。先ず言えるのがピント面がシャープで力強いということ。もちろん25mmという焦点距離ということもありF1.8と言えども被写界深度は深い。しかし、その立体感は中々のもの。
そして開放でも周辺までそれなりに解像し、歪曲も完璧とは言えないが程よく抑えられている。さらに最短付近の描写もすばらしい。
そして、えげつなすぎる周辺減光なのだが、これがこのレンズの最大に魅力のポイントだと言える。その落ち方はやり過ぎなNocitiluxを彷彿させる(褒めすぎ…褒めてない?)。
私自身、好きな描写を一言でいえば、ピントは厚く立体感があり、ボケは柔らかく、開放では周辺減光も感じられ、被写体が浮き上がる感じ・・・とまぁ言い出すと全く一言では済まない。
そんな事で愛して止まないのが、Leica Summilux 35mm ASPH.でありSummilux 50mm ASPH.なのだ。Leicaレンズは球面を愛するユーザーが多いと思うのだが、私自身、現行の非球面レンズが好きだ。
もちろんオールドレンズでも好みの玉は数あるが、滲みに特長のあるレンズやグルボケが強烈なものは好まない。
Leicaレンズの描写には、オールドレンズも含め素直で立体感を感じる。
実はこの立体感を感じるレンズ。あるようで無いものだ。ピントはキレッキレだが、繊細で力強さがないとか、ピント面から非常になだらかにボケ出すがなんか物足りないとか…。レンズが描き出す表現とは、全て好みで分かれる部分だが、光学性能が良ければ全て良しというものではない。
話は逸れてしまったが私自身、かなり高額なレンズから、そこそこのレンズまで手に入れては手放し、また買い戻すなど(笑)、いろいろ好みのレンズを探す旅を繰り返しているのだが、僅かなことでも中々気に入ったレンズとは出会わないものだ。
そこで出会ったPERGEAR 25mm。8,000円ほどのレンズだが、もう結構な好みなのだ。光源にかざせばフワッとフレアも出てオールドレンズのような味わいまである。
こんな価格のレンズでいい描写だな〜と思えてしまうって、もうレンズってなんなの?
佳きレンズの落とし所はどこなのか。
高画素化が進む現在。それに耐えるレンズ造りや光学設計たるやものすごい水準で行われていることだろう。私自身、レンズは味わう専門で、当然ながら設計したことなければレンズの構成図を見てもピンと来ないほうだが、その開発段階や製造に置いてはものすごい時間を掛けて生まれてくるものだろう。
その点から行くとこのPergear25mmなんて長い時間を掛けて研究開発し、ようやくこの描写のレンズを作り上げた。とはちょっと思えない(価格的に)。それなのにこんなに個性を持ち人を魅了する表現ができるとはなんとも皮肉なものだ。
逆に、純正レンズだとこんな描写のレンズは先ず出てこないだろう。
コストを重視し、歪曲や周辺減光など発生するレンズを作り上げてしまったとしても、デジタル処理でキレイに整えてしまうことだろう。もちろんこういった厄介な描写を好むのはマイノリティな訳で、その路線を狙ってレンズ開発すればそれはそれで光学設計や研究費もかさむだろうし、悩ましいところ。
個人的に常々思うのはデジタル処理はOFFに出来るようなカメラ仕様にして欲しい。出来ればレンズ歪曲・収差などと周辺減光は別にして貰って。そうすれば純正レンズでももっと味わいのある描写を楽しめるレンズがあるんじゃないかと思う(想像…)。
X-PRO3のOVF撮影が楽しい。
ルックスもコンパクトで、X-Pro3に装着した姿はクラシカルな佇まいで堪らない容姿。
X-Pro3のファインダーは光学OVFにし、小窓EVFを拡大表示でピーキングを使えばレンジファインダーのピント合わせと撮影感覚に近く、なんとも撮影が楽しくなる。
全面EVFだとシビアなピントには都度拡大が必要だが、小窓EVFがあれば、そこを拡大にさえしておけば軽快そのもの。もはやLEICA要らないんじゃないかと思えてしまう(それはウソ)。
もちろん8,000円のレンズ 。ビルドクオリティなんて言葉は無縁で、削り出しの仕上げや、メッキの質感、刻印の文字も含めて造りは流石にチープ。さらに無限も微妙に来ていないという曲者(汗)。
まぁ、不出来は多々あるものの、このレンズにそこまで求めるのは酷だろう。私にとって価格の何十倍も喜びをもたらすレンズである事は間違い無い。