SIGMA FP × SIGMA 65mm F2 DG DN
SIGMA FP × SIGMA 65mm F2 DG DN
SIGMA FP というCAMERA
常に他のカメラメーカーとは一線を画する独特の世界観を持ち、革新的な機材を発信し続けるSIGMA。もちろんレンズメーカーでありカメラ造りは、他メーカーにないSIGMAならではのカメラを創り続けるという姿勢が見えて、いつも魅力的な存在である。
私自身、SIGMAのカメラはDP2x。DP1 Merrill、DP2 Merrillと愛用していた。Foveonセンサーを用いた革新的なカメラでその凄まじい描写力と独特の色表現は魅力的なものであった。その色表現はLEICAのそれとも違い、被写体の表面だけではなく、なにか内面を写し出してくれるような気さえもする。
ともかく私自身、SIGMAの存在はどのモデルも気になる存在であることは間違いない。
そして今回、発売から2年近く経つがSIGMA FPを手に入れた。
ここに来てSIGMA FPを手に入れたかというと色々理由があって、その一つは、LEICA SL2のボディでSIGMA IシリーズPremium Compact Primesレンズを装着しての撮影はやはりそのレンズのコンパクトさをスポイルする。そういう意味で限りなくミニマムなボディで、ある意味一番装着すべきボディはFPであろうというところ。
それとなんと言っても最大の理由はSIGMA FP Lと同時に発売するEVF(ELECTRONIC VIEWFINDER EVF-11)の存在が大きい。自身の撮影スタイルは基本的にファインダーを覗きシャッターを落とすと言うところにある。なので先ずファインダーのないカメラは中々選択肢には入ってこない。SIGMA FPは大変気になる存在だったのは間違いないが、残念ながら購入に至らなかったのはそこにある。
もちろん、装着することでFPのコンパクトは失われることにはなるので、用途に合わせて使っていけばいいかと思う。
SIGMA FP LではなくSIGMA FPを選んだ。
SIGMA FP LのYouTube発表会の様子はライブで拝見した。中々魅力的な存在だと思った。日常のストリートショットでは、LEICA SL2の4,700万画素も持てあましていて、2,400万画素クラスで十分ではある。FP Lの6,100万画素という高解像度は正直求めてはいないものの、大は小を兼ねると言う意味で高画素はあればあったに越したことはないし、色々進化が見えるFP Lは選択に値すると思った。
しかし翌日の三井公一氏のFP Lのプロダクトセミナーで実際使った詳しいレビューを拝聴して、様々な点で総合すると自身の使い方にはLではなくFPの選択肢が正解だろうと思った。
長年デジタルカメラを使い続けてきて、高画素化が進み現在に至っているが、手持ちで気持ちよく撮れるのは1,800万画素程度で、2,400万画素あたりが限界だろうと感じる。それ以上の画素数を持つカメラは三脚を据えるか、手ブレ補正の機能を持つボディかレンズが必須だと思う。どれだけ高解像度であってもブレのある写真では全くその解像力の恩恵を得ることが出来ない。
自身の撮影スタイルはほぼ手持ちストリートショットで、さらに決して持ちやすいとは思えないFPボディは2,400万画素で十分だと思った。さらにLEICA SL2との組合せでサブ的な位置づけを考えるとFPの方が良いという事となった。
FP。いい…。
久しぶりに手にしたSIGMAボディ。FP。すごくいい。
様々なウイークポンとはすでに耳にしていてそれを含んで手に取ってみると、まさに良いところしか見えてこないといった感じだ(笑)。
ボディデザインに見るカメラとしての扱いは、LEICAやFUJIFILMのような伝統的な操作に慣れているとやや違和感はあるものの、直感的なスイッチ類の操作やGUIは分かりやすく、説明書が無くともすんなり体に入っていった。この辺りはカメラ選びで重要なところで、これが馴染めない機材だと早々に手放している。
そして肝心の写りはというと、評判通りすばらしい解像感だ。ローパスレスのモアレをものともしない写りのキレ。まさにSIGMA画質。このあたり、同じローパスレスでもFUJIFILMの描写は繊細で優しい画作りになっているのである意味対照的だ。レンズも含めSIGMAは鋭くキレも良いいが、反面やや固いイメージもある。いずれも画としてすばらしく被写体に合わせて選べばいいだろう。
そして色味を含めたその画作りはというとSIGMAらしい独特の世界観を持っている。冷たい空気は冷たく、あたたかい空気はあたたかく・・・。私自身ほとんどの写真はRAWで撮影し自身のトーンに作り上がるので素の画が良ければ全て良しというものだが、何とも追い込めないメーカーのRAWもあるのは事実。SIGMA FPの画はまさに素の状態でも私の好みの画だったりするので、Macで開いたときからゾクッとする写真が画面に広がってくる。華美な表現が無く真実を写し出してくれているようだ。
メカニカルシャッターや手ブレ補正内蔵も求めるところだが、それを搭載するとボディサイズも変わってくる。FPは万人が良しと思えるカメラではない。それぞれ自身の撮影スタイルや用途に合わせて様々なオプションなどを組み合わせて、百人百様の使い方になっていくのだろう。
私としてはコンパクトボディのFPとPremium Compact Primesレンズで、しばらくは何も足さずシンプルな状態で、バッグにも入れず持ち歩きたいカメラでいるだろう。