SIGMA 65mm F2 DG DN × LEICA SL2
SIGMA 65mm F2 DG DN × LEICA SL2
SIGMA 65mm F2 DG DN
私自身、SIGMAと言えば大口径で、サイズ度外視で究極の写りを求めるといったイメージを持っていて、それはCarl Zeissの思想に通じるように思う。戦地にも持って行ける強靱さで、コンパクトながら写りも追求するというLEICA Mレンズとはまた違う存在だ。
そんな中、最近のSIGMA ArtシリーズのDG DNは、デジタルミラーレス用としてラインナップも増え、サイズもコンパクト軽量でありながら写りに関しても申し分なく、キレのいいピント面にボケの表現も大変美しく、私自身、知らず知らずのうちに結構な数のレンズが揃ってしまっている。
さらにその中で登場したのが SIGMA Iシリーズ。Premium Compact Primes。
Artシリーズではないもののもう一段コンパクトで、それでいて究極の質感を併せ持つ。ある意味LEICAレンズ的な存在にも感じる。
仕事においては必要に合わせ大口径のレンズも持ち歩くが、日常のスナップやちょっとした小旅行にはお気に入りのボディにコンパクトな装備がいい。大口径F1.4からすれば一絞り暗いF2だが十分な楽しさが想像できるPremium Compact Primesシリーズ。なんとも言えないオトナの心をくすぐる魅力的なラインだろう。
その写りはというとArtシリーズのようなキレキレの描写ではない。全体的に優しい表現に思える。ボケ味もクセがなく美しく柔らかい。ピント面は繊細でキレのいい表現ではないが、程よい立体感で、オールドレンズとまでは言わないもののある種、味わいのようなものも感じる。
LEICAレンズやCarl Zeissのような強い個性がある描写ではないが、非常に好感の持てる表現だろう。
65mm F2。
標準50mmや75mmは体の中に染み付いているが65mmという焦点距離は中々微妙な距離感だ。撮影して感じるのが75mmの感覚に近い。標準50mmをぐっと切り詰める感覚だろうか。単焦点レンズはしばらく使えばその焦点距離に体がなれてくる。ズームレンズでフレーミングするのではなく体を使い、構図を決めていく。まさに写真の楽しさがそこにある。しばらくこの65mmに体を慣らしていこう。
LEICA SL2に装着したSIGMA 65mm F2 DG DNは、サイズ感、重量感とも、程よいバランスだ。SL2はやや大柄なのでこのあたりが気軽に持って出られるギリギリのサイズ感かもしれない(笑)。
しかしなんと言っても絞りリングのあるレンズは本当に好感が持てる。そのクリック感も含めて肌触りというかこの質感は創り手の気持ちが伝わってる機材だ。
常々思うことだが、写真はよく写ればいいものではない。
私自身、写真を愛するとともにその撮影機材も愛している。そのカメラ、レンズを手にし、それを操る喜びやフィーリングを味わいながら撮影を楽しむ。
SIGMA Iシリーズはその撮る喜びを与えてくれるとても魅力的な存在だろう。